Category: 宅建業法のない世界
-
宅建業法のない世界ではこんなリスクが…(その2)
ところが、本人確認をするために契約当日、仲介業者だけでなく、売主にも来てもらった際に、私が売主に対し、一旦合意しておきながら土壇場で値上げするのはアンフェアだというような苦情を言ったところ、「それは仲介業者から頼まれたのであって、私の知ったことではない」と言い出したのです。 それを聞いてすぐにピンときたのは、相手の仲介業者は自分達の仲介料を上乗せするために勝手に売買価格を値上げした、ということです。 タイでは、日本のように仲介料は3%プラス6万円まで、と上限規定をしている宅建業法がありません。一方で、仲介料は売主が3%を払うだけという商習慣があり、普通、買主からは取れません。従って、相手の仲介業者は売主側についていることをいいことに、仲介料を上乗せして買い主からも取ろうとしたのです。 実際、こちらでは、こういうことは頻繁に行われているから、私もすぐに察しがついたわけですが、仲介業者の考え方として、売主がこの価格で売れればよいと一旦承諾したら、あとはもしそれを超えた価格で売れれば、それは仲介業者の力量であり、超えた分は丸取りしても構わないという理屈がまかり通るのです。そして、これが宅建業法がない世界の論理です。 この結果、具体的にどうなるかというと、売買価格920万バーツの仲介料3%は276,000バーツ(約80万円)なので、これを買主を連れてきた仲介業者と138,000バーツ(約40万円)ずつ折半することになります。 この裏工作を知らない以上、買主側の仲介業者にはそれだけしか入りませんが、売主側業者は20万バーツ値上げした分を丸取りできるので、実際には332,000バーツ(約100万円)受け取るわけです。これが売主側に付いたエージェントの強みでもあるのですが、結局一番損をするのは買主です。 そもそもバンコクでは、別の仲介業者が買主を連れてきた場合、仲介料は日本と同じく分かれとなるのですが、この場合、1.5%ずつ折半することになります。日本が売主と買主からそれぞれ3%ずつ仲介料を取れるのと比べてわずか半分であり、こういうことがまかり通るようになります。 この件は、結局、相手もそれを認め、20万バーツの値上げを撤回させ、当初合意した900万バーツで契約を巻くことができましたが、残念ながら、宅建業法のない途上国の不動産取引というのは、どうしてもこんなリスクがあるということです。 ちなみに、こういう場合、リテインドエージェントというのは買主の代理人であり、仲介料は買主からもらうので利害の不一致がなく、売主から支払われる分かれの仲介料は買主に帰属するという立場なので、買主をプロテクトできるメリットがあります
-
宅建業法のない世界ではこんなリスクが…(その1)
最近、ちょっと問題があったケースですが、バンコクの不動産取引の不透明さについて書きます。 以前にも関連した内容のブログ記事を書いているので、宅建業法のない世界を通して読んでもらうともっとよく流れが分かると思います。 日本では、宅建業法があるので、仲介業者は専任、一般媒介を問わず、売主から売却のための仲介依頼を受けた場合、必ず媒介契約を締結し、売主の希望価格で売却物件を広告等に出すことが義務付けられています。 そもそもこんなことは宅建業法がどうのこうの言う前に商取引として当り前のことなのですが、こちらでは詐欺みたいなこともまかり通っているので、気をつけていないといいようにされてしまうリスクがあります。 さて、今回の例ですが、私のクライアントがCBDにあるリセールの2ベッドルームを9百万バーツで買うことになりました。 リテインドエージェントであった私は、候補先として選んだ3つの有望物件に対し、買主側代理人としてそれぞれの物件の売主に対し、順次指値を入れていったのですが、何回かのやり取りの末、その中の1つの物件の売主がこちらの提示価格を受けてきました。 そして、その数日後、契約書のチェックも終わり、いざ手付金の支払いと契約締結という段階になったのですが、そこで問題が発生します。 売主側仲介業者から、売主の気が変わったので、更に価格を20万バーツ値上げするとの連絡があったのです。こちらの富裕層にはこんな風にすぐ気が変わる連中も多いので、売主側仲介業者が売主をしっかり掴んでない場合、こういうことも頻繁に起こります。 こういう場合、私は追いかけない方針なので、クライアントには事情を話し、どうしてもこの物件しかない、というのでなければ深追いしない方がいいと伝えたのですが、残念ながらその物件は、私のクライアントが一番気に入っていた物件ということもあり、結局、その値上げされた価格を受けることになりました。
-
宅建業法のない世界(その4)
しかし、個人の住宅売買ではそこまでやるのは無理です。従って、買主自らが気をつけるしかありません。 相手はプロなので、実にうまい口実で自分の売りたい物件を売り込んできます。例えば、AとBの2つの物件があってどちらも大差なさそうなのに、ブローカーがAの方ばかりを勧めてきて、どうも納得できないような場合は、多分、それはコミッション率が違うからだろうと疑う必要があります。 売主から直接委託されたブローカーはコミッションも3%取れるのでそちらを売ろうとします。一方で、日本で言う“分かれ”の場合は、自分は売主につながっておらず、買主を紹介するだけなので、売主に委託されているブローカーとコミッションを折半することになり、1.5%のコミッションです。 この場合、気をつけなければならないのは、たとえ“分かれ”であっても、日本の場合は買主側仲介業者は買主から仲介料を取れますが、タイの場合は両方とも売主からコミッションが支払われるので、買主を紹介したブローカーでも買主の味方にはなりえないということです。 そういうこともあって、現在、私は日本ウェルスで、バンコクでコンドミニアムを買う日本人ができるだけ不正に会ったり損をしたりしないように投資アドバイスをしています。簡単に言えば、適正な市場価格で、将来的にも資産価値を維持できる物件を紹介し、購入のアドバイスをしていくのが仕事です。 従って、最新のマーケット情報の提供や、買わない方がよいプロジェクトなど、デベロッパーにとって不都合な情報もブログの中でストレートに伝えるようにしています。プロフィール欄でも書いたように、私は既にアーリーリタイアしてバンコクにやってきたので、今更コミッションをがつがつ稼ぐつもりもなく、できるだけ日本人のクライアントに満足してもらえるようにアドバイスをさせてもらっています。 一方で、弊社の関連会社にはBTSプロパティグループというブローカレジ会社があります。日本人買主の求める物件と彼らの持っている物件がピタリと一致した場合は、同じグループ会社なのでスムーズに契約、引渡しまで進むのですが、当然、全てがそううまくいくわけでもなく、利害の不一致で頓挫することも起こります。 その場合、日本人のお客さんがどちら側のクライアントになったかによるのですが、私のクライアントである場合は、アドバイザーとしてよくないと思う物件は、この関連会社が売ろうとしてもこんなのは買わない方がいい、とアドバイスできるのですが、BTSのウエブサイトで物件を見てコンタクトしてきた日本人の場合は、彼らのクライアントであり、残念ながら私には発言権がありません。 タイはまだ新興国なので、不動産業界も日本から見たら公正な取引を行うための宅建業法もない無法地帯のような業界です。不動産マーケットも日本のように情報が透明化されておらず、裏取引や詐欺みたいな行為が行われています。 従って、冒頭に書いたように、「日本人にとっては、まだまだ一般的とは言えない海外不動産の購入。大きな将来性がある代わりに、日本人の知らないところに落し穴があるのも海外不動産です。」ということを忘れないで頂きたいと思います。 ถ้าคุณรู้สึกสนุก ช่วยกดนะครับ にほんブログ村 タイ(海外生活・情報) ブログランキングへ
-
宅建業法のない世界(その3)
タイでは宅建業法がないので、不動産取引について法律で細かいルールが決まっていません。従って、リセール物件の売買については、各ブローカーがそれぞれのやり方でやっているのが現状です。 例えば、業者によっては、日本人顧客に対しては両手商売をしていたり、もう売れてしまった物件を客寄せのためにいつまでもお勧め物件として広告に出していたりと、結構いい加減なことをやっています。 特に人気のリセール物件になると、これはもう完全な売り手市場であり、しかもコミッションは売主が支払うので、ブローカーは当然売主側についてしまうことになります。 しかし、日本人の感覚からすると、仲介業者は売主と買主の間に立って取引を仲介するのだから中立の立場である、という意識があるので、ついブローカーの言うことを信用してしまいます。これは、売り手と買い手の両方から仲介料が取れるという日本独特の両手商売のシステムが、日本人にブローカーと仲介業者の違いを混同させているのだと思います。 しかも、まだ勝手がよく分ってなく心細い外国で、親切丁寧に色々な物件に案内されたりすると、思わずそのブローカーを信頼してしまうという心理もあると思います。 特に日本人の場合、これからコンドミニアムを売却するという人はほとんどいません。大半の人が買い手であり、ブローカーの言うことを鵜呑みにしてその餌食になることが一番危険です。そういうブローカーを信用した結果、仲介料まで請求された上にとんでもない物件を買ってしまうこともあります。 従って、ブローカーが得る収入は厳密に言うと、「売主から受け取るコミッション」であり、日本の「売主と買主の仲を取り持つ仲介料」ではないということを絶対に忘れてはいけません。 このことは、宅建業法などない欧米諸国で、機関投資家がオフィスビルやホテル等の商業不動産の売買をする現場で何が行われているかを見ると、個人がタイのような国で不動産を買う場合の注意点が分ります。 イギリスやアメリカでもそうなのですが、商業ビルの場合、1つのブローカーが売り手と買い手の間に立って仲介をするということはまずありません。何故なら、売り手側に雇われたブローカーはできるだけ高く売って、成功報酬を稼ごうとします。一方、買い手側もそれに対抗するべく、別なブローカーをインベストメントアドバイザーとして雇って、瑕疵のある物件を買ったり、マーケットから逸脱したような高い値段で買ってしまうリスクを避けようとします。 その結果、売り手側と買い手側に雇われたプロのブローカーがそれぞれの顧客の利益を守るためにベストを尽くすので、騙されるとか、不正行為やアンフェアな行為が防げるわけです。 ถ้าคุณรู้สึกสนุก ช่วยกดนะครับ にほんブログ村 タイ(海外生活・情報) ブログランキングへ
-
宅建業法のない世界(その2)
プレビルドの細かいリスクについては、「プレビルド投資のリスク」と題して、今までにも何回か書いたので今回は触れませんが、今のタイのプレビルドは、当初の英国のオフ・プランとはかなり違ったものになってきていて、どちらかというと投機の対象に近いものになっています。 昨年11月17日から4回に亘って書いたブログ、「人気プリセール物件についての黒い噂」にあるように、事の真相は別として、タイではデベロッパー自体がこういう投機的な行為を煽るようなことをしても構わないのです。 このブログ記事にはかなりの数のアクセスがあり、読者の興味を引いていたので、タイ自由ランドのコラム記事としても書かせてもらいましたが、もし読んでなかったら、このブログを一度読んでみて下さい。日本では考えられないようなことが書いてあります。 一方、日本の場合、宅建業法があります。あまりパッとしない名前だし、普通の人から見れば、宅建の資格をもっていたら就職に有利だし、アルバイトもできる、しかもそんなに難しくない、という程度の認識だと思います。 しかし、実はこの法律は不動産業者にとっては凄く怖い法律なのです。消費者が不動産業者に業法違反があったことを東京都や国交省に通報すると、監督官庁の調べが入り、問題がある場合はすぐに指導勧告が出ます。また、悪質な場合は、営業停止や免許剥奪となります。 従って、悪質な仲介業者に変なことをされた場合、泣き寝入りなどせずに、業法違反で都知事に通告する、と伝家の宝刀を抜けば、たいていの業者はあっさり引き下がります。簡単に言えば、金融機関がその監督官庁である金融庁と喧嘩する訳がないのと同じで、不動産業者も国交省や都知事に睨まれると何のメリットもないので、極力面倒を避けたがります。 でも、外国では宅建業法がないのが普通です。タイでも英国でもそんな消費者を保護してくれる法律はありません。従って、全て自己責任です。 このことは、デベロッパーのようなビッグビジネスだけでなく、末端のブローカーにも当てはまります。 この続きは次回 ถ้าคุณรู้สึกสนุก ช่วยกดนะครับ にほんブログ村 タイ(海外生活・情報) ブログランキングへ
-
宅建業法のない世界(その1)
表紙中央部のブログ案内で、私はこう書いています。 「日本人にとっては、まだまだ一般的とは言えない海外不動産の購入。大きな将来性がある代わりに、日本人の知らないところに落し穴があるのも海外不動産です。」 例えば、バンコクのコンドミニアム販売の場合、プレビルドとかプリセールという日本にはない方式が主流となっています。 現在、タイだけでなく、東南アジアのほかの国でもプレビルド方式は使われているのですが、本来、資金力のないデベロッパーが建設資金を初期段階から捻出するために、プロジェクトの計画段階から、購入希望者に建設資金の一部を出資してもらう、ということで始まったものです。 元々、プレビルドのベースはイギリスのオフ・プランからきているのですが、私がロンドンで商業不動産投資をしていた頃に、サビルスの役員から聞いたのは、オフ・プランの発想は、世界初の株式会社といわれる17世紀の東インド会社設立の発想に起因するそうです。 当時、インド航路を帆船で行く大航海時代には、船が難破する可能性も高く、もし見事帰還できたらインドからの積荷である紅茶や胡椒を売って大儲けできるが、難破したら投資資金はゼロになるというハイリスク・ハイリターンの投資でした。 そこで東インド会社は各航海ごとに投資家(株主)を募り、投資家は船のグレードや乗組員の熟練度などを基に投資リスクを吟味し、これはいけそうだと思った航海プロジェクトに出資するという、正に今の株式会社の発想です。 ロンドンのグリニッジに行けば、当時最速を誇っていた帆船、カティサークが港に展示されています。投資家達はその流麗な姿の帆船を見て、これなら難破したり沈没したりしないできっと積荷を満載して戻ってきてくれるだろうと賭けに出る、そんな夢のある投資だったわけです。さすが、株式会社の仕組みを考え出したイギリス人、こういうところの発想は凄いと思います。 そして、これがオフ・プランにも導入されて、デベが新規の住宅開発をする際に、そのプロジェクトの青写真を基に投資家を募り、プロジェクトの将来性に賛同した投資家に建設資金の一部を初期段階から出資してもらうというものだったようです。 従って、イギリス人はオフ・プランのリスクを熟知しています。でも、タイ人を見ているとどうも分ってないようです。特に、昨年前半の反政府デモでコンドミニアムマーケットが低迷した際、ゲンガムライ(投機的転売)を狙っていた投機家で、途中で投げ出す人がかなり出ていました。 そうなると、今まで自分が積み立ててきたダウンペイメントは一銭も返ってきません。でも、こんな当たり前のことが分ってなく、デベロッパーを訴えるとか何とか言って最後までジタバタしていた連中が結構いました。 更に、日本人には全く馴染みがないせいか、もっと分っていません。本当はかなりの危険があるのに、それを誰も教えてくれないし、業者はいい面だけを強調して、プリセールで買っておけば、竣工する頃には2割も3割も値上りするのが当たり前のように煽ります。 続きは次回に ถ้าคุณรู้สึกสนุก ช่วยกดนะครับ にほんブログ村 タイ(海外生活・情報) ブログランキングへ