2009年も今日で終わり。特にこの2カ月は慌しく過ぎ去っってしまい、HP更新の頻度も極端に少なくなってしまいました。私の読書は、同時期に複数冊を並行読みするため、読了時がひと時に集中してしまう傾向があります。前回更新時から約1月。紅白を横目に今年最後に読み終えたのは、
○「ピコラエビッチ紙幣」 熊谷 啓太郎 ダイヤモンド社
第2回城山三郎経済小説大賞受賞作実際に起こった歴史上の事件にSPOTを当て、「通貨とは何か?」「経済とは何か?」を問う意欲作。なかなかの読みごたえ。ただ、投資対象国、市場としてのロシアを考えた場合、私のロシア嫌いをますます強固なものにしてしまったかもしれません。。。
その他12月の主な作品を列挙しておきましょう。
○「世界のマネーは東へ動き出した」 菅下 清廣 フォレスト出版
この出版社ならではの誇大キャッチコピー。普通に売ったほうが内容的にはかえってインパクトがあるのにと思ってしまいます。極めてオーソドックスなシナリオで、特に目新しさはありませんが、基本に戻って「投資の5原則」はもういちど確認しておくには良いでしょう。その後の「投資の5策」は完全な蛇足。
○「球体の蛇」 道尾 秀介 角川書店
前作「向日葵の咲かない夏」以降、新作を待ちわびていました。ストーリー展開、ミステリー小説としての仕掛けの巧さは際立っていますが、やはり個人的には合わない作家だと思いました。
○「天に堕ちる」 唯川 恵 小学館
好きな女流作家TOP3に入る彼女の作品は、どれも期待を裏切ることなく、女性心理を学ぶための私の「隠れバイブル」と言えるでしょう。それにしても「おーこわっ!」
○「めくらやなぎと眠る女」 村上 春樹 新潮社
「象の消滅」に続き、外国人向けに編集された短編小説集。いわば逆輸入版。20年以上も前に読んだ懐かしい作品もいくつか含まれており、長年のファンにも十分楽しめる内容となっている。前作は黄色の装丁だったように記憶していますが、今回はピンク。若い新読者層にも受けが良いのではないでしょうか。
○「神様のカルテ」 夏川 草介 小学館
いわゆる「本屋さん」大賞に一番近いと言われている本。温かくユーモアのある文体と、若手医師の奮闘ぶりに好感のもてる作品。ただ、作家としての力量判定は次回作を待ってからとしたい感じです。はい。
○「インセンティブ」 タイラー・コーエン 日経BP社
一種の流行でもある「行動経済学」のジャンルに属する本。「内なるエコノミスト」=インセンティブを見極めるのがポイントと説き、具体的な事例は面白いものがあります。ただ、この手の本は、翻訳家のセンスに多分に影響される部分が多く、日本語の本として読むと、やや冗長な感じが否めません。おそらく原文で読んだほうがおもしろさがより伝わる本なんだろうと思います。
○「フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略」 クリス・アンダーソン 日本放送出版協会
翻訳ビジネス書今年のTOP3に入ると思われる快作。業界の方々にとっては目新しさはないかもしれませんが、豊富な事例もわかりやすく、私にとってはまさに「目から鱗」の1冊。大いに参考にさせていただこうと思っています。
○「排出権商人」 黒木 亮 講談社
銀行時代の先輩だからというわけではありませんが、氏の作品はデビュー作ほどのインパクトは薄れてきているものの、作家としての力量、完成度は確実に高まってきていると思います。実は、この作品に、まさに日本の明日を担う「水再生」を扱う三島の企業(個人的にも大いに注目している会社で、私の師匠は惚れこんで経営陣に身を投じてしまったほどの凄い会社です)が出てくるのですが、氏の取材量と情報網の広さには脱帽です。冒頭の「ピコラエビッチ紙幣」と並行して読んでいて、こっちを先に読み切ってしまったというのが実態です。
さて新年最初の1冊は、机の上に10冊ほど積んであるうちのどれかになるのでしょう。自分でもどれを選ぶのか、2010年年頭に「ちょうどエェ」のを選びたいものです。
皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。
来年もよろしくお願いいたします。