海外マクロ・コメント
海外マクロ・コメント
2009年11月 9日 19:50
○10月米雇用統計は弱い内容
10月米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比-19.0万人と市場予想(同-17.5万人)をやや下回った。一部には、(1)過去2ヵ月分が合計9.1万人上方修正されたこと、(2)先行性の高い人材派遣業が前月比+3.4万人と大幅に回復したこと、(3)季節調整前の雇用者数は前月比+64.1万人と大幅に増加しており、季節調整で83.1万人押し下げられたこと(昨年10月は季節調整前で同+37.3万人、季節調整済みで同-38.0万人で、75.3万人の押し下げ)、などを明るい点として強調する向きもある。しかし、10月に雇用者数の減少幅が縮小した背景には政府部門の振れ(9月:前月比-4.0万人→10月:同0.0万人)が大きく、民間雇用者数は9月の同-17.9万人に対し10月は同-19.0万人とむしろ小幅に悪化している。家計調査に失業率が前月比+0.4ppの10.2%と1983年6月以来の二桁に達したことからみても、雇用環境が極めて悪い状況であることは間違いない。このため、今回の雇用統計は弱い内容と解釈すべきだと思われる。
○9月OECD景気先行指数は景気拡大を示す領域まで改善
一方、世界経済は順調な回復を続けている。6日に発表された9月OECD景気先行指数は前月比+1.3ptの100.6となり、2008年6月以来初めて長期平均の100を上回った。主要国をみると、米国が99.2、日本が98.8となお100を下回るが、ユーロ圏は102.7、英国は103.9と欧州が好調だった。OECD景気先行指数が100を割り込んだ期間は2008年7月から2009年8月までの14ヵ月間で、これは前回の世界的な景気後退局面での35ヵ月間(2000年11月〜2003年9月)よりも遥かに短かった。リーマン・ショック後の世界経済の落ち込みは激しかったが、その後の景気回復は非常に迅速だったと言えよう。
こうした早期の景気回復が可能だった背景には、OECD未加盟の新興国、特に中国が世界経済を牽引したことが指摘できる。中国の景気先行指数は今年1月に91.2で底打ちし、8月に101.5と100を上回り、直近9月は103.2も達している。一方、OECDと米国の景気先行指数が底を付けたのは、ともに中国から3ヵ月遅れの今年2月だった(図表1)。これは2000〜03年の局面と比較すると対照的だ。前回の景気後退局面でOECD景気先行指数が底打ちしたのは2001年9月で米国と一致し、中国の2001年12月よりも早かった。そして、2002年から2003年にかけて中国経済は緩やかな改善を続けたが、OECD景気先行指数は米国経済に連動して再び悪化した(図表2)。図表1と図表2を見比べてみると、過去数年間で中国経済が大幅に発展し、米国に変わって世界経済のトレンドを左右するようになってきたことは明らかである。
情報提供:バークレイズ・キャピタル証券株式会社
図表1:OECD、中国、米国の景気先行指数(2008年以降)
OECD、中国、米国の景気先行指数(2008年以降).bmp
図表2:OECD、中国、米国の景気先行指数(2000〜03年)
OECD、中国、米国の景気先行指数(2000〜03年).bmp
