海外マクロ・コメント
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2009年10月28日 16:24
○2年債入札は良好な結果
米2年債入札は、落札利回りが1.020%と直前のWI(発行日取引)利回りの1.045%を2.5bp下回り、応札倍率が3.63倍と前回(9月)の3.23倍を上回り2007年8月以来の高水準となるなど、良好な結果だった。間接入札者の落札比率は44.5%と前回の45.2%から若干低下したが、間接入札者による応札額自体は405.4億ドルと前回の338.6億ドルから増加して2003年5月の統計開始以来の最高を更新しており、非居住者や国内投資ファンドの需要はむしろ増加しているとみられる。今回の結果で特に注目されるのが、直接入札者(プライマリー・ディーラー以外の証券会社)の落札比率が8月の3.5%、9月の11.8%に対し26.1%と急上昇を続け、過去最高を更新したことである(一方、プライマリー・ディーラーの落札比率は前回の43.0%から29.4%に低下した)。これは、プライマリー・ディーラーの資格を得るために特定の証券会社が積極的に入札に参加したことを反映している可能性があろう。そうだとすれば、今回の応札倍率は特殊要因で押し上げられた一方、間接入札者の落札比率は最終投資家の需要に比べて低めに出ていると解釈される。本日の5年債入札や明日の7年債入札でも、直接入札者の動向に着目する必要があろう。
○10月消費者信頼感指数は低下
10月の消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)は前月比-5.7ptの47.7と3ヵ月振りの低水準になった。これはミシガン大学消費者センチメント指数(10月速報は前月比-4.1ptの69.4)、週次ABC消費者信頼感(10月4日に終わる週の-45から10月25日に終わる週の-51まで低下)など他のサーベイ結果とも整合的であり、消費者マインドが再び冷え込みつつあることを示唆している。消費者信頼感指数の内訳では、現状指数が前月比-2.3ptの20.7と1983年2月以来の低水準へと落ち込むとともに、期待指数は同-8.0ptの65.7と大幅に下落している。特に期待指数は個人消費の伸び率との連動性が高いため、懸念される。
雇用統計の一致指標とされる現在の雇用判断については、「就職が困難」と回答した家計の割合は49.6%と2ヵ月連続で増加し(8月44.3、9`月47.0)、今回のサイクルでのピークを更新した。これは1983年5月以来の高水準であり、当時の失業率は二桁に達していたことを考慮すると、当面の失業率はさらに上昇するリスクがあると思われる。
○8月S&P/ケースシラー住宅価格指数は上昇
8月S&P/ケースシラー住宅価格指数(20都市)は季節調整前で前月比+1.2%、季節調整済みで同+1.0%と上昇を続けた(季節調整前では4ヵ月連続、季節調整済みでは3ヵ月連続)。10都市ベースの指数の先物をみると、市場では住宅価格が前年比でも今年末か来年初めにはプラスに転じることがすでに織り込まれつつあるようだ。ただし、住宅販売全体に占める差し押さえ物件の割合が上昇していることから、住宅価格は「通常の住宅販売が春・夏に増加し、秋・冬に減少する」という季節パターンの影響を強く受けるようになっている可能性がある。実際、FHFA(米連邦住宅金融庁)の住宅価格指数は8月からすでに前月比で低下に転じた。S&P/ケースシラー住宅価格指数は3ヵ月移動平均ベースの数字であるため(すなわち今回のデータは6〜8月分の動向に基づく)、夏休み明け以降に住宅価格が低下に転じた場合には、その影響は遅れて現れる公算が大きい。季節要因に加えて11月末には住宅一次取得者向けの税額控除が期限切れとなることも踏まえると、住宅価格が順調な上昇を続けると判断するのは尚早であろう。
○9月中古住宅販売は大幅に回復
9月中古住宅販売は前月比+9.4%の年率55.7万戸と8月の減少(同-2.9%)から大幅な増加に転じた。これは契約段階の指標である中古住宅販売成約指数(PHSI)の最近の増加と整合的である(図表1:中古住宅販売は受渡段階の指標であり、PHSIに1〜2ヵ月遅行する)。ボトムからの累積増加幅はなおPHSIの方が大きいことを踏まえると(PHSIの累積増加幅は1月から8月までで29.1%、中古住宅販売が1月から9月までで24.1%)、中古住宅販売は10月も増加を続ける可能性が高い。ただ、中古住宅販売の好調の背景には、住宅取得者向けの税額控除が11月末に期限切れを迎えることによる駆け込み需要の面が大きいと考えられる。実際、中古住宅販売統計を作成しているNAR(全米不動産業協会)によれば、11月13日に公表される年次住宅売買サーベイでは過去1年間の住宅の購買層のうち45%以上は一次取得者だったことが示される見通しだという。一次取得者が住宅を購入している最大の理由は住宅価格下落と低金利による「値ごろ感」だとみられるが、税制要因も一定の影響を及ぼしていた公算が大きい。このため、11〜12月分のデータを確認するまで住宅販売のトレンドは判断することはできないだろう。
今回の統計で明るい点としては、中古住宅在庫の調整が一段と進捗したことが指摘できる。中古住宅在庫の販売月数は全体で8月の9.3ヵ月から7.8ヵ月、一世帯住宅で9.0ヵ月から7.6ヵ月へと低下した。図表2で示したように、中古住宅在庫/販売月数が7ヵ月の水準まで改善すれば中古住宅販売価格は前年比で下げ止まるという大まかな目安がある。今後も中古住宅在庫の削減が順調に続くかどうかが注目される。
○FOMCの文言の変更を示唆する記事が相次ぐ
22日付けのフィナンシャル・タイムズ(FT)紙と26日付けのウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙では、FRBが声明文の文言の変更を検討していることを示唆する記事が相次ぎ掲載された。FT紙の記事を執筆したのは現時点で最も信頼性の高いFedウォッチャーと見なされているグハ記者であり、WSJ紙はこれまでもリーク記事でFRBの意向を伝えてきたため、この2つの記事を無視することはできないだろう。
FT紙によると、声明文の「weak economic conditions are likely to warrant exceptionally low levels of the federal funds rate for some time(経済状況が長期にわたりFFレートの異例の低水準を正当化する公算が大きい)」という表現は、「少なくとも6ヵ月間は低金利を維持する」という見通しを示すことで市場の金利見通しを引き下げることを意図したものだった。現時点でも多くの当局者は来年後半よりも前の利上げを想定していない模様である。しかし、経済見通しは依然として不透明であり、タカ派とハト派の間では、(1)余剰供給力が物価を押し下げる度合い、(2)インフレ期待の安定性、(3)ドル安や商品価格上昇によるリスク、について意見が分かれているという。こうしたなか、主流派も(たとえ最も可能性の高い予想ではないとしても)向こう6ヵ月間で利上げを行う可能性が存在するならば「extended period」という表現を見直すことで合意したとされている。
そして、FT紙は今後のFRBの行動として、(1)FRBが金利政策で対応する条件をより具体的にする、 (2) 2003〜04年と同様に将来のガイダンスの枠組みを残しながら徐々に表現を弱めていく、という2とおりの方法が検討されていると伝えている。そして、FRBは声明文の表現を変更する前に講演や証言で地ならしを行う公算が大きいとしている。
WSJ紙の記事の方はより具体的であり、11月3〜4日の次回FOMCでは「extended period」の文言を変更が議論の焦点になると報じている。この記事によると、「向こう数週間、講演や場合によってはFRBの声明文で、当局者は何が利上げにつながるかについての明確な基準を提示しようとする公算が大きい」という。FRB内部では、(1)失業率や(2) インフレの兆候(金価格上昇、ドル安、EM経済の強い回復、金融市場の回復など)が注目されているという。
情報提供:バークレーズキャピタル証券株式会社
