海外マクロ・コメント
海外マクロ・コメント
2009年9月 8日 11:56
○8月雇用統計はどちらとも取れる内容
8月米雇用統計は、明るい兆候が一部で見られたものの、総じて労働市場が依然として脆弱なことが示された。景気強気派にとっては「雇用の悪化ペースの縮小が緩やかに進んでいる証拠」、景気弱気派にとっては「雇用低迷が引き続き家計部門の足枷となることを示唆する内容」と受け止められたとみられる。
非農業部門雇用者数が前月比-21.6 万人と市場予想(同-23.0 万人)よりも若干良好な内容だったが、過去2 ヵ月分は合計で4.9 万人下方修正された(6 月:同-44.3 万人→同-46.3 万人、7 月:同-24.7 万人→同-27.6 万人)。一方、失業率は9.7%
と7 月の9.4%から再び大幅に上昇した。統計の細部を見ると一部で明るい兆候が出て
きていることは確かだが、労働市場はなお脆弱と判断される。
雇用者数の内訳をみると、財生産業は7 月の前月比-12.2 万人に対し同-13.6 万人と前月並みの減少だったが、サービス産業は同-8.0 万人と7 月の同-15.4 万人から減少幅が大幅に縮小した。サービス産業の中では、小売(7 月:前月比-4.3 万人→8 月:同-1.0 万人)、運輸・倉庫(同-2.4 万人→同-0.1 万人)、教育・医療(同+2.1 万人→同+5.2 万人)の改善が目立った。明るい材料としては、1 ヵ月スパンの雇用DI(増加した業種の割合+横ばいの業種の割合の半分)が7 月の29.9 から35.2 へ上昇し、2008 年7 月以来の高水準となったことが指摘できる。これは雇用削減を行っている業種が少なくなってきていることを示しており、ISM サーベイの雇用指数の改善とも整合的である。
時間当たり賃金は前月比+0.3%となり、7月分も同+0.2%から同+0.3%に上方修正された。これにより、雇用統計から計算した労働所得(総労働投入時間×時間当たり賃金)は7月の前月比+0.4%に続き8 月も同0.0%と減少を免れた。労働所得の伸びはなお弱いが、昨年9 月から今年6 月までの10 ヵ月連続の減少から脱却したことは家計部門にとって明るい材料と言えよう。
前述のとおり、失業率は7 月の9.4%から9.7%に低下した(小数点三桁表示では9.360%に対し9.657%)。就業者数は前月比-39.2 万人と大幅に減少する一方、失業者数は同+46.6万人と急増した。失業者数の理由別内訳をみると、「新規参入者」の割合が7 月の6.6%から7.2%へと上昇している。若年層(16〜19 歳)の失業率も7 月の23.8%から25.5%へと大幅に上昇しており、学校を卒業して職探しを始めた若者が増えたことで失業率が押し上げられた面があったと考えられる(夏場は季節的に若年層の動向で雇用統計が撹乱されやすい)。しかし、他の理由別内訳では、自らの意思に反して失職した「非自発的失業者」の割合が7 月の64.9%から65.3%へと増加する一方、(主に良い条件で
他の仕事を見つけて)自らの意思で離職した「自発的失業者」の割合は6.0%から5.5%、再び職探しを始めた「再参入者」が22.5%から22.0%に低下するなど、労働市場の弱さを示唆する組み合わせとなっている。労働市場の中核をなす「白人・男性・20 歳以上」の失業率も7 月の9.1%から9.3%に上昇して戦後最高を更新した。平均失業期間は7 月の25.1 週間から24.9 週間へと小幅に短期化したが、なお高止まっている。
家計調査で唯一明るい点としては、失業率の前年差は4〜6月の+3.9ppから7月+3.6pp、8 月+3.5pp となお高水準ながら低下してきた点が指摘できる。図表3 で示したように、過去には失業率の前年差がピークアウトした時期は景気後退の終了したタイミングと一致する傾向があった。これは最近の企業サーベイや先行指標の大幅な改善とともに米国経済が景気後退局面から抜け出してきたことを示唆するものと考えられる。ただし、労働市場の回復はなお弱々しいものにとどまっており、目先は個人消費の力強い拡大は期待し難い。
○G20財務相・中央銀行総裁会議は「出口戦略」を急がない姿勢を確認
6日のG20財務相・中央銀行総裁会議声明では、第2パラグラフで「我々は、景気回復が確実になるまで、物価の安定と長期的な財政の持続可能性と整合的に、必要な金融支援措置及び拡張的金融・財政政策の断固たる実施を継続する」と明言し、しばらくは現行の政策スタンスを維持する方針を明言した。第4パラグラフでは「我々はIMF 及びFSB と協働し、行動の規模、時期及び順序が国及び政策手段の種類によって異なることを認識しつつ、協力的で調和した出口戦略を作成する」と、「出口戦略」についてはまだ準備段階との認識を示すにとどめている。
○今週の米国市場は国債入札に注目
本日、米国はレーバー・デーで休場である。今週発表される指標は9日(水)のベージュ・ブック、10日(木)の7月貿易収支、11日(金)の9月ミシガン大学消費者センチメント指数(速報)など比較的重要性が低い。そのため、8日(火)の3年債入札(380億ドル)、9日の10年債入札(200億ドル)、10日の30年債入札(120億ドル)で非居住者を中心に堅調な国債需要が確認されるかどうかが最大の焦点となろう。
情報提供:バークレーズキャピタル証券株式会社
