アジアニュース

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2008年11月17日 15:10

●株式回復は来年4〜6月以降、OCBCシンガポール

景気低迷の影響は当面続き、株式市場は2009年4〜6月期まで回復しない、とする分析を銀行大手OCBCの調査会社が発表した。OCBC投資リサーチの主任アナリスト、カルメン・リー氏が同行の月例フォーラムで明らかにした。同氏によると、「金融機関の連鎖破たんが当面避けられたものの、業績悪化が影響する」と述べた。そして、株価指数のST指数(STI)は直近の1700ポイント前後の水準で推移する」と予測した。中国や韓国、マレーシアで発表された景気刺激策にも触れ、株価に影響を与えるが、実体経済に効果が反映されるまでにはまだ時間がかかるとし、「早くても来年の第2四半期(4〜6月期)末に投資が活性化し、STIが300〜400ポイント反発する」と分析した。また、リスク忌避を背景にした企業による投資に対する消極姿勢が足かせになるとし、「STIが最悪で100〜200ポイント下落するが、このことが投資家を刺激することにつながる」との観測をみせた。15日付地元各紙が報じた。

 

●インドネシア  中銀、国内行が危機とのうわさ根拠なし

中央銀行のブディオノ総裁は、国内の複数の銀行が資金難に陥っているとのうわさについて、何の根拠もなく正しくないと言明。中銀としてはこうしたうわさを流布することで国内の金融システムの安定に悪影響を及ぼそうとする勢力に対して当局と協力して厳格に対応するとしている。ビスニス・インドネシアなどが伝えた。同総裁は、13日に発生したバンク・センチュリーの決済不成立の原因が事前資金払込が遅れたことで、14日には通常の取引に戻っており同行株式の取引停止も解除されたと説明。その上で、バンク・センチュリーのような事態が再び発生しないように、国内行の強固な基盤と安定性保証策として、すべての国内行を対象に緊急時の短期資金支援策を講じると説明した。ただ、こうした措置は講じるものの国内行の状況は非常に安定しているとあらためて表明。中銀では今後も「国民のために最良のサービスを提供していく」と述べている。一方、中銀のハリム銀行監視調査課は、短期資金支援を申請し、実際に支援を受けた銀行は中銀の特別監視下に置かれると説明。バンク・センチュリーを含むすべての銀行が支援申請の資格を有するとしている。バンク・センチュリーが申請を行ったかどうかについては関知していないとした。また、ミランダ上級副総裁は、世界的な金融危機の影響はインドネシアも免れることはできないとしたものの、米国や欧州ほどの状況には陥っておらず、国内行の状況は他国よりも比較的安定しており強固との見方を示している。

 

 

●香港が景気後退局面へ、雇用対策が課題に

政府が14日発表した今年第3四半期(7〜9月)の経済報告で、同期の域内総生産(GDP)成長率が前期比0.5%減だったことが明らかになった。2期連続でのマイナスとなり、新型肺炎SARSの影響を受けた2003年以来5年ぶりに景気後退(リセッション)入りした。GDPに占めるウエートが高い個人消費の急速な冷え込みが主因。曽俊華(ジョン・ツァン)財政長官は「雇用対策が急務」とのコメントを発表した。

前年同期比でも市場予想を1ポイント下回る1.7%成長にとどまった。政府は、景気後退局面に入ったことを受け、今年通年でのGDP成長予測を従来の4〜5%から3〜3.5%に引き下げた。同期のGDP成長の鈍化は、算出ウエート上位を占める個人消費の急速な冷え込みによるものだ。前年同期比での伸びは、前期の3.2%から0.2%まで落ち込んだ。株安による金融部門への支出減のほか、景気や雇用の先行き不透明感から、一般消費財への購買意欲が冷え込んだものとみられる。また同期の輸出の伸びは6年来の低さとなる1.4%増にとどまっており、これも成長の重しになったようだ。

曽財政長官は「(公共事業などで)雇用創出を行う」と述べ、政府として下支えを積極化させる考えを示した。

■「98年ほどでない」=JPモルガン

ただ、専門家の間では景気後退局面は来年まで持ち越されるとの見方が濃厚だ。JPモルガン・チェースは2009年のGDP成長見通しを、従来のマイナス1%からマイナス1.3%に下方修正した。

同社は、1997〜98年のアジア金融危機時ほどではないが、01年の情報技術(IT)バブル崩壊後並みの長さでリセッションが続く、と予想している。また、香港上海銀行(HSBC)のアナリストも、「欧米の景気回復に1年半はかかる」「貿易に関してはまだ底を打っていない」とし、楽観視はできない、との見方を示した。

 

●香港 「まだ利下げ余地ある」金融管理局総裁

アジアでは、シンガポールなども既に景気後退に入ったことが明らかになっており、不況の波がアジア各地でも広がりを見せ始めている。香港金融管理局(HKMA)の任志剛(ジョセフ・ヤム)総裁は、香港にはまだ利下げの余地があるとの認識を示した。主要20カ国・地域(G20)による緊急首脳会合(金融サミット)に出席するため訪れたワシントンで、香港記者団に対し語った。任総裁は「銀行金利は銀行が決める」としながらも、「ペッグ制の下では、米国が利下げをしたら香港も利下げをすべき」と述べた。香港の銀行は金融危機による米国のたび重なる利下げにも同調せず、今月に入りようやくプライムレート(最優遇貸出金利)を0.25%引き下げた。任総裁は「既にかなりの低金利だが、まだ下げる余地はある」と指摘した。また、今月に入って香港各行がプライムレートを引き下げる中、唯一同調していなかったDBSは14日、0.25%の追随利下げを行うと発表した。同行のプライムレートは5.5%から5.25%に下がる。15日付信報などが伝えた。

 

●金融ショックがマカオ翻弄

資金調達に成功しなければ、事業継続に疑問が生じる――。米ラスベガス・サンズは先週、米証券取引委員会(SEC)に提出した報告で経営破たんの可能性に言及した。本体が倒れれば、同社が巨額を投じて進めているマカオ開発事業も水泡に帰す。カジノに依存するマカオ経済に計り知れない打撃を与えることは必至だ。米国資本の導入でこの世の春を謳歌(おうか)していたマカオが、米国発の金融危機に揺さぶられている

コロアネ島とタイパ島をつなぐコタイ・ストリップ(金光大道)にそびえ立つ巨大建造物。送迎バスがひっきりなしに到着し、中国本土からの観光客が次々と建物の中へ吸い込まれていく。金色に輝くエントランスの先には、明るくスタイリッシュなカジノが広がる。遊び疲れたら世界各地のブランド品が並ぶ商店街へ。ベニスをイメージした運河が屋内を流れ、ゴンドラの上からカンツォーネの歌声が聞こえる。

サンズが昨年8月にオープンしたザ・ベネチアンは、マカオがここ数年で経験してきた変化の象徴だ。マカオ政府は2002年、それまで1社独占だったカジノ市場を複数の企業に開放。同社は04年5月のサンズ・マカオの開業で、外資系の先陣を切ってマカオ上陸を果たすと、どこか陰鬱なイメージがつきまとっていた賭場を誰もが入りやすいアミューズメント施設に生まれ変わらせて見せた。続いて何もない埋め立て地に建設したザ・ベネチアンでは、本場ラスベガス式のカジノ総合リゾートの概念を本格的に導入。02年から昨年までの5年間に、マカオのカジノ収入は3.7倍、域内総生産(GDP)は2.8倍に拡大した。

 

■資金繰り行き詰まる

そのサンズを金融危機が襲った。外電などによると、同社は6日のSECへの報告で、第4四半期(10〜12月)に銀行の財務制限条項に抵触する恐れがあり、新たな資金調達に成功しなければ債務の繰り上げ履行を求められ、事業継続に疑いが生じると明らかにした。同社は米国、シンガポール、マカオで積極的な事業拡大を進めていたが、ここに来て世界的な信用収縮で資金繰りが一気に悪化した。長期債務88億米ドルを抱えており、50億米ドルの借り換え融資と当面のマカオ開発資金約20億米ドルを早急に調達しなければならないとされる。 9月末には同社株式の6割以上を保有するシェルドン・アデルソン会長兼最高経営責任者(CEO)が自己資金4億7,500万米ドルを投入したが、依然として資金調達は難航。同社は投資先のシンガポール政府に支援を求めたほか、8月に開業したばかりのフォーシーズンズ・ホテル・マカオの売却先を探していると伝えられる。 10日に発表した7〜9月期決算では、コタイ・ストリップで進めている開発プロジェクトの一時凍結を表明。シャングリラ、シェラトンなど4ホテルの建設中止が決まった。マカオ大学・博彩(ゲーミング)研究所の馮家超(デービス・フォン)所長は「倒産にまで発展する可能性は低いだろう」とみる。マカオ事業だけに限ってみれば、運営に問題は生じていないため投資家を募って存続することができると分析。「いざとなればマカオ政府にはさまざまな手段がある」と話す。サンズはマカオで1万5,000人を雇用しており、倒産すれば社会的な影響も極めて大きい。マカオ日報などによると、エドムンド・ホー行政長官は11日に行った施政報告(施政方針演説)後の記者会見で、「絶対に1社たりともカジノ企業の営業停止は認めない」と強調。サンズの名指しは避けながらも、「もしどこかの企業が倒産したなら、直ちに事業を政府管理下に置く」と述べた。金融危機によってカジノ企業は軒並み打撃を受け、マカオで事業展開しているラスベガス系の株価(11月12日終値)は、52週高値との比較でサンズが95.8%、ウィン・リゾーツが67.6%、MGMミラージュが89.2%、それぞれ暴落している。

■珠江デルタの不況も波及

逆風は企業の資金繰りだけにとどまらない。9月のカジノ収入は70億パタカ(約858億円)にとどまり、前月比27%も減少した。全体の7割を占めるVIPルームの売り上げが落ち込んだことによるものだ。

マカオのカジノ事情に詳しく、現地を拠点にカジノ情報サービスを提供しているアジア・ゲーミングの渡邊章太郎社長は「ジャンケットの貸し渋りが起きている」と解説する。ジャンケットとは、カジノから手数料を取って集客を請け負う仲介業者のこと。マカオではVIP客のほとんどがジャンケットが連れてくる客であり、同時に中国本土からの客だ。本土では海外旅行の際の外貨持ち出しが5,000米ドルまでと制限されているため、高額を賭けるVIP客に対してはジャンケットが融資を行うシステムが出来上がっている。ところが、金融危機の影響で珠江デルタの工場倒産が相次ぐなど、上客たちの懐具合が悪化。貸付金が不良債権化するリスクが高まった。 ジャンケットが本土客への融資に慎重になれば、カジノの集客と収入に影響が出る。また、ジャンケットに対してカジノが融資資金を提供している場合もあり、貸し倒れのリスクはカジノ自身も負わなければならない。ウィンはこのほど発表したマカオの7〜9月期決算で、初めて不良債権に備え1,100万米ドルの引き当てを行った。本土資産家の失速がジャンケットの貸し倒れを増やし、最終的にカジノ企業の業績に反映されている現状を浮き彫りにした形だ。

さらに、本土からマカオへのビザ制限が、VIP以外の客足も鈍らせている。カジノ経済の過熱に危機感を持つ中央政府は、以前は2週間に1回申請が認められていたマカオへの個人旅行ビザを、5月中旬から1カ月に1回、7月からは2カ月に1回に制限し、9月からは香港入境ビザでのマカオ入境も禁止。この影響により、9月の個人旅行客は前年同月比24.6%の大幅減となった。

■先行きは楽観

では、急拡大を続けてきたマカオのカジノ経済はバブルがはじけたのか。アジア・ゲーミングの渡邊社長は「業界関係者はそれほど悲観していない」と話す。

今年のカジノ収入は1,000億パタカに達する見通しで、昨年比20%の高成長を維持する。来年は金融危機とビザ制限の影響から07年水準まで落ち込むとの予想もあるが、それでも毎月70億パタカの収入があれば、事業免許を持つ6社全てが利益を出しながら共存できるというのが政府、専門家の共通認識だ。10月のカジノ収入は89億パタカと再び上向き、市場の底力を見せた。金融危機の影響を考慮し、中央政府が近くビザ制限を緩和するとの観測も強まっている。マカオ大の馮所長は、今回の危機を乗り切ればカジノ産業はさらに発展すると予測し、こう付け加えた。「マカオには市場がある。中国人はギャンブルが好きだからね」。

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