積み立て投資のジレンマ

積み立て投資のジレンマ

2008年9月11日 12:17

中長期の資産形成において、積み立て投資はとても有効な手段の一つです。国内でも株式の累投(るいとう)や、投信の積み立てなどでおなじみですね。海外の投資商品にも積み立てタイプのものが多数あり、毎月比較的少額で始められるので、初めて海外投資をされる方や、いわゆる自分年金として開始される方、また将来まとまった金額での一括投資をするための資金作りに活用される方が多いようです。国内の同様商品との一番の違いは、やはり圧倒的な品揃えの豊富さにあります。大手保険会社が提供しているものが多いのですが、多いところでは約200種類のファンドの中から最大10種類までを選択できるようになっています。

さてこの積み立て投資。安いときに沢山買って、高いときは少なくする。いわゆる「ドルコスト平均法」という手法を用います。投資タイミングの分散を図りながら、コツコツと毎月一定金額の投資を継続的に行っていくわけですが、これによって購入コストの平準化が図られ、結果的に一括投資に比べて平均コストを下げる事が可能になるケースがあります。「あります」と敢えて書くのは、そうでないケースもあり、今後はむしろそういう事態も想定しておく必要があるという意味合いです。

いろんなセミナーや面談で、積立投資の有効活用を説明し、また実際にお客様にアドバイスをしながら、最近感じることがあります。

ここ数年間で積立投資を始められたお客様のポートフォリオのほとんどが、BRICSを中心としたエマージング株式系のファンドで占められているケースが多く、去年まではファンドの基準価格が上昇続け、毎月のパフォーマンスを見ると,かなりの含み益があったのですが、今年に入ってからは、4,5月を除きほぼ一本調子で基準価格が下落。積立元本を割る運用残高になっている方がほとんどです。

基本的には長期的に成長が期待できるファンドを選んで投資するわけですが、目先の上昇が顕著なものは、初期段階では避けるほうが懸命です。そういうファンドは、一括投資が理想的で、分割投資のほうがコスト面では明らかに不利になります。

悩ましいのは、積立投資に対する投資家の考え方、期待するところと、効率良い積立投資の本当の強みに対するギャップがある場合が多いことです。

通常積立投資は最低でも10年以上の長期にわたって継続的になされるもので、満期時のリターンの最大化がゴールとなります。そのためには、マラソンと同じで、事前の入念な調整(銘柄選択等)はもちろんのこと、レース間中においても、緻密に計算された戦略、状況判断、変化への適応力等々様々な技と知力体力を結集させないとゴールにたどり着けません。

積立投資においても、スタート直後の序盤、中盤、そして終盤35KM過ぎあたりからの仕掛け、ゴール直前のラストスパートと、それぞれの局面においてとるべき戦略は当然違うはずなのです。

私はお客様には数字が一人歩きしないように、折に触れて申し上げるのですが、最低当初の2年から5年間は、ひたすら残高を増やすことに意味があり、安くたくさん買えるものを中心に、とにかく目をつぶって買いつづけることです。売られているもの、あまり上昇しすぎないものに投資をするので、当然月次のパフォーマンスはマイナスになることも多々あります。でもそれでいいのです。この間にしなければならないのは、ゴールを明確に強く意識しながらも、自分なりのペースを確立し、中盤以降の戦略を立てることです。関心を持って学び、反省し、中盤以降のあらゆる環境変化に対応できるための柔軟な体制を作ることです。

中盤、後半、ラストの戦略は、一括投資と同じ要素も大分増えてきますので、状況に応じ、適宜銘柄の入替え、売却等のメンテナンスが必要になります。この頃になると、ご自身のスタイル、座標軸が固まってきているので、アクションも取りやすくなっているはずです。そして、この時期はコーチや監督のような伴走者の存在も重要になってきます。確立されたご自身のスタイルを第三者の意見とすり合わせてチェックする。そういう形で我々のようなアドバイザーを活用されるのも良いでしょう。

今のような世界的な株式下落局面は、積立投資でリスクの分散を図りながら仕込みに入る絶好のチャンスだと思います。序盤の方にとっても、目先のパフォーマンスの急落に目を奪われること無く、どっしり構えてせいせいと口数を増やしていきましょう。

 

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